赤坂在住の夫婦と娘と赤ちゃんによる日記と地元情報。 食事、映画、読書にアート、何でもありのブログです。 第二子誕生しました!


by yesquire
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New York Times Book Reviewが選んだ過去25年の最高のフィクションにボーダー三部作と共にノミネートされていたのがCormac McCarthy(コーマック・マッカーシー)の『ブラッド・メリディアン』。 荒野、殺戮、掟、酒場、自然、拳銃、メキシコと頭皮狩りを会話のない研ぎ澄まされた言葉で語った作品は、『ザ・ロード』で究極の形となった作者独特の期待や倫理観を突き放す文章のいわば原石でかえって印象を深くした感があります。
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主人公の少年は判事と言われる大男と出会い、領土拡大時代の西部でインディアン討伐隊に加わり、殺戮、祝福と彷徨を経験。 当然死の直前まで追い込まれますが、途中でその存在も薄れる程の頭皮狩りの行程が描かれ、西部劇がソフトに見えてしまう荒々しさと無残さを幾度となく少ない言葉で語る章があります。

他作品で映画がヒットしたのでやっと出版されたようですが、この小説を映像にするのはちょっと想像できません。 ちなみに過去25年のベストノベルはToni Morrison(トニ・モリソン)の『ビラブド』で、個人的に最高傑作と評価しているドン・デリーロの『ホワイト・ノイズ』が2番手。 でその下に本作は並べられていました。
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by yesquire | 2010-02-09 22:01 | book
アンセム・キーファーの灰色の大きなインスタレーションが頭に浮かぶピュリッツァー賞受賞作はコーマック・マッカーシーの短編とも呼べる無駄を極力そぎ落とした、ある意味ヘミングウェイな近未来フィクション。
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『ザ・ロード』はページが進むと同時に家族を思う気持ちも広がる作品でした。 焼け野原となった世紀末の地球が舞台で、大気は汚れ太陽は見えず雪が舞う道を名もない親子が殺戮と強奪が続く中進んで行きます。 生き物は人を獲物にする悪人しかおらず、食事もままならない環境で父親はひたすら息子を守ることを第一に歩みます。 もしもの時に餌食にならないよう自殺する方法を教えている事がわかる場面ではこちらの胸が痛くなります。

前作でも研ぎ澄まされた刃物のような文章で悪と善を描いた作者が更に硬度を増した短い言葉で語る作品は、想像力が膨らむ分だけ希望も将来もない状況が心に無情に鋭利な角度で刺さる気がします。 食べ物を探した家の地下にいた全裸で足を切断された男と助けを求める声、焼かれて食べられた赤ん坊などカニバリズムがさらに平和な現代に生きる我々に鈍器で殴られるような感覚を与えますが、偶然見つけたシェルターで久しぶりに風呂に入りコーヒーを沸かす場面が際立って幸福に見えたりもします。

病に冒され死を待つ父と世界が崩壊した後に生まれた子の間で極端に短い会話で表現される親子の愛情、数ページか数段落で収まってしまう事件や出来事、想像を超えた末期の世界をマッカーシー色で極めた小説は現代アメリカ文学の最優良作の一つだと思いました。
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by yesquire | 2008-07-16 22:18 | book
コーエン兄弟製作の映画が話題を呼んでいるCormac McCarthy(コーマック・マッカーシー)の『血と暴力の国』は彼らしい乾燥した詩的な空気に支配された小説。 ボーダーシリーズ並みの細かい武器や背景の描写は無いし、曖昧ですが最近の時代設定に新しい魅力を感じました。
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引退間近の保安官、麻薬がらみの殺戮現場から大金を奪ったヴェトナム帰還兵と彼を追う冷徹な殺人のプロが、血の匂いが漂う緊張感の強い南部の町で交差します。 現金を持って逃走する主人公は撃たれ、プロの殺し屋シュガーは殺人マシーンのように標的を消しますが、ベテラン保安官の昔を懐かしむ独白がクッションのように挿入され、ただのハードボイルドと違った味を出しています。

大自然や荒野を少ない言葉で表現する作者お得意の描写だけでなく、市街地での銃撃シーンは冷たい感覚が伝わり現場にいるような錯覚を覚えました。 渋い俳優を揃えた映画も非常に楽しみです。 だた、原題は"No Country for Old Men"なので日本語の題名が意味不明だし、扶桑ミステリーから単行本での出版なので本編後の解説のレベルの低さに驚きました。 
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by yesquire | 2007-11-23 10:14 | book
「すべての美しい馬」はアメリカ南部を舞台にしたカウボーイが主人公の物語。 若いカウボーイとインディアンの友人が、乾燥した荒野と農場を舞台に危ない目に合いながらも成長して行く。 馬を中心に馬具、銃、農場や景色などの描写がきめ細かく、美しい小説です。
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New York Timesが選ぶ過去25年のベストフィクションの候補にもなった三部作の中で一番ポピュラーな小説、失敗しましたが映画にもなりました。 主人公達が話す会話はぶっきらぼうで南部なまりがあり、登場する人物もクセのある人間ばかりです(英語で読むと知らない単語だらけです)。 フォークナーの後継者と言われるコーマック・マッカーシーはまさに現代のアメリカを代表する作家の一人ではないでしょうか。

最初に読んだ時は「集中しにくい」本だったのですが、読んでいくうちにアメリカ南部の景色が思い浮かぶようになり、完全にはまってしまいました。 銃を打った後の匂いもする気がしましたね。 年齢を重ねてからもう一度読み返したいと思っています。 
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by yesquire | 2006-06-22 22:32 | book