赤坂在住の夫婦と娘と赤ちゃんによる日記と地元情報。 食事、映画、読書にアート、何でもありのブログです。 第二子誕生しました!


by yesquire
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タグ:ガブリエル・ガルシア=マルケス ( 4 ) タグの人気記事

ガルシア=マルケスの自伝『生きて、語り伝える』は幻想的かつ現実的な彼の小説にも似て大変興味をそそる半生記。 日本の文学大家と同じように進学しても勉強せず将来のベストセラー作家を夢みて中途半端な生活を送り、様々な経験をして小説家としての肉付きを増やしていく過程は(当時のコロンビア情勢が不勉強でも)面白く、特に母親を中心としたファミリーの奇人や伝説は名作の背景が見え隠れして楽しいノンフィクションとなっています。
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新聞記者としてヨーロッパへ渡る直前で今回は終了しますが、その経験を生かしたドキュメンタリー風の半生の語りは見事としか言いようがなく、自伝をこれほど読み応えある作品に仕上げたマルケスの技量には大きく感心。 執筆ばかりと思えばちゃっかり女性も(危機一髪の時もありますが)モノにし、意外ですが中南米の音楽に造詣の深い面を見せたり、人生の中で過ぎ去って行った人の名前や表情などを詳細に記憶している部分には驚かされます。 政変が起きたコロンビアでの「この世でいちばんいい職業」で「高く評価しているルポルタージュ」のお手本のような緊張感のあるパートや、父親の期待を裏切りその事実を現実的かつ芯の強い母親と分かち合う両親との関係や大勢の兄妹を振り返るノスタルジックな文章などマルケスの様々な一面が凝縮され続編が大変待ち遠しい一冊でした。
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by yesquire | 2010-03-11 22:46 | book
初めてのマルケスを3冊も読めたのは振り返って非常に幸せな1年だった気がします。 全集が終了する来年は同じような興奮が無いので落胆ですが..。 『迷宮の将軍』は中南米独立の英雄シモン・ボリーバルの伝記。 激動の時代と波乱万丈の人生を歩んだボリーバルですが、マルケスが語るのは死ぬまでのわずか数年間で、しかも自ら切り開いた国から追い立てられる悲しい道程です。
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宗主国との戦争、開放と敗北の跡が残るマグダレナ河沿岸の町を病に冒された将軍が過去を思い出しながら下る様子を、新聞記者だった作家らしい緻密な調査と取材で読者の前に展開させます。 南米の歴史や地理の知識があればもっと楽しめた伝記ですが、過激かつ陰湿に事実をさらけだすマルケス節にどんどん引き込まれてしまいます。 

裏切り、殺戮、病気とありえない伝説を持つボリーバルの人生はマルケスが題材に使うにはもってこいの人物だったのでしょう。 悲しくも荘厳に各地で迎えられる逃亡中の将軍やその家来達の表情までセピア色ですが想像できます。

できれば最近流行の新訳で出して欲しかったです。
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by yesquire | 2007-12-21 22:07 | book
「コレラ時代の愛」はチェス仲間を亡くした医師が同じ日にアクシデントで死んでしまい、寡婦となったフェルミーナ・ダーザの前に半世紀近くもこの時を待っていたフロレンティーノ・ダーサが現れプロポーズする事から物語が始まります。 
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ロマンチックなストーリーに聞こえますが、そこはガルシア=マルケスですから期待は裏切りません。 一人の女性を想い続ける青年の苦難よりも、周囲で起きる事件や昔のコロンビアでの生活などが得意のおとぎ話風に語られていきます。そうなんです、「語られていく」んです。 台詞はほとんど無く動作や景色や出来事が描写されるだけというマルケス節炸裂です。 確かに読んでいて疲れるあるいは眠くなることもあるでしょう。 しかし様々な場面でこれでもかと言うくらい読者を驚かせ感嘆させてくれる事に間違いはありません。 特に想われる方のフェルミーノ・ダーサの少女時代からの生活や青年医師との結婚生活は記憶に残るものでした。

マルケスが次々に刊行されるのも読書熱を維持させるのでしょうか。 先月からすごい勢いで本を読んでいます。 願わくば他の中南米作家の翻訳も読む時間が無い程出版されると幸せなんですが。
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by yesquire | 2006-12-06 12:28 | book
本屋で悩まずにレジに持っていく本が見つかった日は嫌なことがあってもすぐに忘れられます。 問題はそれがあまりない事ですが、ガブリエル・ガルシア=マルケスの久しぶりの新刊を見つけて2日間で読んでしまいました。 嬉しいことに新潮社からは「全小説」のシリーズで過去に刊行された分も順次発売されるそうです。 多作な作家ではないので、10作くらいですが書店で手に入らない本もあるのでファンには朗報です。
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『わが悲しき娼婦たちの思い出』は老年の主人公が90歳の誕生日に昔お世話になった娼館の女将に連絡を取ることから始まります。 記念すべきその日に処女を抱こうと思い立った彼のその日からの生活が描かれていますが、ガブリエル・ガルシア=マルケスはいつものように冒頭で読者の興味を見事に惹き、そのまま一気に読ませてしまいます。 主人公が老壮であるので自己移入は苦しいですが、枯れかけた男の哀愁や若かりし頃の武勇伝を思い出す場面などは同情させられます。

マルケスは登場する人物の肉体、特に下半身やセックスの描写が「あからさま」で「坦々と」していると思います。 まるでこんなの普通だよと言わんばかりの書き方が今回も随所に見られます。

夏目漱石の『こころ』に似てるなと個人的に思った個所がありました。 「教育を受けたちゃんとした人間のように見せかけているのは、なげやりで怠惰な人間であることに対する反動でしかなく、度量の小さい人間であることを隠すために寛大な振りをしているに過ぎず..」 自分が人生の最後にこんな風に自分を見返せるだろうかと心配になったセンテンスです。

以前刊行された岩波書店の『物語の作り方』で映画「シャイニング」を「輝き」と直訳してしまった木村栄一さんが翻訳だったので心配になりましたが、さすがは新潮社でした。

『わが悲しき娼婦たちの思い出』は僕より年上の男性に是非お薦めしたいです。 次にページを開く時は主人公と同じ年齢の時にしようと思いました。 評価は☆☆☆☆☆。
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by yesquire | 2006-10-06 20:42 | book