赤坂在住の夫婦と娘と赤ちゃんによる日記と地元情報。 食事、映画、読書にアート、何でもありのブログです。 第二子誕生しました!


by yesquire
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タグ:アメリカ文学 ( 38 ) タグの人気記事

「飲む・打つ・買うは福利厚生」という帯に魅かれて手に取った証券マンが語る自称ノンフィクションのハチャメチャ小説。 途中からありえない取引などがあるので「ん?」と思いますが、80年代の業界の人間なら納得するような記述もあり、それなりに楽しめた一冊でした。
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『ウォール街狂乱日記』の主人公は若くして当時の法律スレスレ取引で成功、ビリオネアとなってモデルの若妻、高級車とヘリとと別荘とボート、コールガール、そしてドラッグとあらゆるものを手に入れます。 マネーロンダリングや金融当局の検査、イケイケの社内や出産シーンなど実体験を(たぶん)基にしたドキュメンタリーでもありますが、映画化を意識して過激になりすぎのシーンも散見されるのでフィクションとして読むと面白かったです。

多くのウォール街モノ映画や小説と同じく、日本語にない金融用語やアメリカ独特の商慣習などの翻訳はあやふやになります。 スピルバーグ映画化と書いてあったので映像で見たほうが良いお話?
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by yesquire | 2008-06-01 08:21 | book
ダウン症だった双子の一人を死産と妻に伝えた医師と、施設に入れるよう要請されるも自ら育てる決断をした看護婦とそれぞれの家族の話が『メモリー・キーパーの娘』

妻は喪失感に悩み医師である夫と距離を置き、無事育った息子は進路で父と対立、主人公の幸せそうに見える家庭は崩壊。 看護婦は苦労を重ねながら自律し発育の遅い「人の子」を育て、愛情に恵まれた家庭と良き理解者に囲まれた幸せなファミリーを築きます。 

妹を早く亡くした経験から娘を捨てた医師ですが、内緒で仕送りをして責任感から逃れようと苦悩します。 一方で出産の場面にいた看護婦は実母に対して罪悪感を持ちながら他人の子を育てます。 前半の混沌と比較すると意外にも最後はあっさり結末を迎える物語は好感が持てました。
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デビュー作が大きな評価を呼んだルーキーの作品なので細かいことは気にせず読みました。 ベテランの匠な技術や読者との駆け引きが無いのでかえって設定と構成でシンプルに読む者を引きこむ小説。 メモリー・キーパーとは趣味が高じてプロの写真家となる医師のこと。
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by yesquire | 2008-03-29 22:15 | book
訳者である村上春樹による解説が面白かったのがレイモンド・チャンドラー作『ロング・グッドバイ』。 旧訳では省略されていた詳細な描写が新訳では翻訳家による思い入れから復活、本の厚さも手伝って飛ばしてしまおうかと思った箇所が確かにありました。 余計とも思われるチャンドラー特有のディテイルを村上春樹は「偉大なる寄り道」としてあえて強調しています。
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物語は探偵フィリップ・マーロウがロサンジェルスの金持ちと偶然知り合いになる場面で始まります。 富豪の娘と結婚したその男が妻を殺害しメキシコへ逃亡、マフィアや義父も絡んだ状況で探偵が逮捕されると突然その男が自殺。 そこから話は急展開し、謎の美人作家婦人や殺された女の姉が登場、マーロウはますます混沌とする闇の世界で一人孤立しながら事件を解決してゆきます。

村上春樹を含めた作家や評論家が言うとおり、本作品は探偵物ではなくフィクションとして十分読む価値のある小説だと思いました。 もちろんミステリーとしてのヒネリも素晴らしいですが、60年代のモノクロ映画を思い出させるセリフと描写に感心しました。
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by yesquire | 2008-01-25 22:16 | book
翻訳に青山南を指名した出版社と見事起用に応えた本人が素晴らしいのがケルアックの新訳『オン・ザ・ロード』でした。旧訳「路上」は初めて手にした時がまだ若く、ビート・ジェネレーションに違和感もあり非常に読み難かった記憶があります。
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「オン・ザ・ロード」はアメリカを文字通りぶっとばして東から西へ信じられない速さで移動する主人公達のスピード感と若さが生々しく描かれ、考えることなくあっという間に読める(読んだほうがいい)小説に仕上がっていました。 取り換えるのが面倒なので紙をつなぎ合わせてタイプしていたという伝説が残る一作なので作者と同じテンポを持つことも重要かと思います。

1950年代のアメリカ大陸を追い立てられるように西へTripする(Travelでなく)主人公と友人達の物語は同世代の若者に何度も読まれ、深く影響を与え研究もされてきました。 当時はセックスの描写に気を使っていたため多少ウブな内容もありますが、「いいねっ!」(”Yes!”とか”Yaas!”)の感嘆詞で占められる会話やメキシコも含めた各地の人々の描写に若い作者の生き生きとした感性が読みとれます。

昨年本国ではOn The Road The Original Schrollという「完全版」が出版されちょっとブームになっていたようです。
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by yesquire | 2008-01-21 00:02 | book
先日惜しくも亡くなった最後の第2次大戦時代の文豪ノーマン・メイラー。 モハメド・アリが復帰戦でジョージ・フォアマンと対峙する「キンシャサの奇跡」のドキュメンタリー『ザ・ファイト』を読みました。
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作家が文中でも述べているようにメイラーは比喩の大御所、アリの練習風景やザイール情勢をこれでもかと様々な喩えで描きます。 アリの話し方は「トタン屋根がバタつくように話し続ける」、疎遠になった友人関係は「ボクシングの試合というものは、カスタネットをたたくように偏見を打ち破る」などと、最初から細かい視点で観察しながら得意の比喩で飛ばします。

珍しい「まえがき」で生島治郎が翻訳に大変苦労したと書いてますが、メイラーは詩人のように言葉をぶっきらぼうに並べてストーリーを語る作家だと思います。 おかげで作品後半の試合の描き方はスポーツライティングの観点から傑作と思われる文章になっていました。 ジョージ・プリンプトンと隣りで観戦したそうすが、メイラーが試合前にアリとジョギングしようと提案したのは彼を意識してのことかも知れません。 

いずれにしろ時代を代表する作家が逝かれたことは寂しいかぎりです。 日本語で全集作って欲しいなー。
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by yesquire | 2007-12-15 21:51 | book
ミシガンを舞台に不眠症の作家の周辺にいる友人、前妻、バイトの若い女、元哲学教授などの生活をインタビュー形式で描いた佳作が、毎回新鮮な作品で読者を軽くあしらうチャールズ・バクスターの「愛の饗宴」(The Feast Of Love)
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チャールズ・バクスターは変わり者で、ベストセラー常連ではないのに翻訳される機会が多く、日本の出版社も捨てたもんじゃないと思う代表的な作家です。 3年前に出版された本作は、主人公チャーリー・バクスターが散歩中に出会った友人に自分の過去について書くと良いと勧められ、まず本人と前妻から話を聞くことになるストーリー。

モールでカフェを経営する友人の私生活から始まり、破壊的なバイトの女の子とボーイフレンド、出て行った息子の亡霊に悩む老夫婦などの終わってみれば「愛」のストーリーがロマンチックとは程遠い書き方で綴られています。 全てがハッピーエンドとならない各個人の過去や現在、主張や対人関係が独白する言葉で描かれており、ノンフィクションとも読める本作の構成に感心しました。 題名は絵画が趣味の友人が描いた感動的な油絵から。
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by yesquire | 2007-12-02 16:13 | book
コーエン兄弟製作の映画が話題を呼んでいるCormac McCarthy(コーマック・マッカーシー)の『血と暴力の国』は彼らしい乾燥した詩的な空気に支配された小説。 ボーダーシリーズ並みの細かい武器や背景の描写は無いし、曖昧ですが最近の時代設定に新しい魅力を感じました。
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引退間近の保安官、麻薬がらみの殺戮現場から大金を奪ったヴェトナム帰還兵と彼を追う冷徹な殺人のプロが、血の匂いが漂う緊張感の強い南部の町で交差します。 現金を持って逃走する主人公は撃たれ、プロの殺し屋シュガーは殺人マシーンのように標的を消しますが、ベテラン保安官の昔を懐かしむ独白がクッションのように挿入され、ただのハードボイルドと違った味を出しています。

大自然や荒野を少ない言葉で表現する作者お得意の描写だけでなく、市街地での銃撃シーンは冷たい感覚が伝わり現場にいるような錯覚を覚えました。 渋い俳優を揃えた映画も非常に楽しみです。 だた、原題は"No Country for Old Men"なので日本語の題名が意味不明だし、扶桑ミステリーから単行本での出版なので本編後の解説のレベルの低さに驚きました。 
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by yesquire | 2007-11-23 10:14 | book
嫁さん待望のリンカーン・ライム最新作はシリーズ最強の敵が登場する『ウォッチメーカー』(The Cold Moon)。 殺人現場にアンティークの時計と詩を残す緻密かつ残忍な今回の犯人は、本来の目的を隠すために用意周到に様々な仕掛けを計画。 車椅子の元捜査官ライムとパートナーのサックス刑事がいつもより証拠の少ない現場の検証から犯人の意図をつきとめます。 

今回はサックスが警察内部の汚職を独自に調査していることからライムと息が合わず、代わりに尋問の専門家が目撃者や犯人から捜査に重要な事実を引き出します。
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というわけで科学捜査で事件解決という構図に作者が飽きてきたのか、CSIが人気だからか、証拠品からあっと言わせる推理や犯人先回りといういつものツイストが今回はあまり目立ちません。 むしろ印象に残ったのは細かい動きや反応で嘘や隠し事を暴く「キネクシス」専門のダンス捜査官の方でした。

ま、それでも嫁さんは育児の空いた時間に2日くらいで、旦那の私は出張の合間で4日の計1週間で2人で読んでしまいました。 事件の終わりは納得いかない本作の評価は☆☆★★★。 
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by yesquire | 2007-11-13 22:48 | book

『オッペンハイマー』

「オッペンハイマー」は「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーの伝記。 愛国心から原爆を作った彼は意外にも日本に落とされた数年後に反米活動の疑いをかけられ地位を失ってしまう。 この本は作者達の25年に及ぶリサーチによって希代の科学者の複雑なポートレイトを描ています。 科学界のカリスマだった彼は、詩を愛し、哲学を語り、授業でもパーティーでも聴衆や政治家を虜にしてしまいます。 ロスアラモスに英知を集めて一つの目的のために統率するのですが、空前絶後な殺人兵器を製作している意志は感じられません。 これはその後の政治的なナイーブさによって孤立する天才の性格でもあります。
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マンハッタン計画や原爆の被害について語られることは多いでしょうが、原爆の実験成功を頂点としたオッペンハイマー博士の特に後世を学問的成果や功績を除いて語る作品は珍しいのではないでしょうか。 FBIもが調査をした共産主義者との接触の事実を訴求され輝きを失っていく過程はショックでもありました。 ピューリッツァー賞受賞した久しぶりの長編ドキュメンタリーは時間もかかりましたが、読後に色々考えさせられる名作。

オッペンハイマーはノーベル賞を受賞した「ビューティフルマインド」のジェフ・ナッシュを迎え入れるなど科学界への貢献も多大ですが、文学など他の分野での造詣も深く、知識人との交流も多かったことに驚かされました。 原題は"American Prometheus"、プロメテウスは人間に火を与えてゼウスの怒りをかい、肝臓をハゲタカに啄ばまれ続ける拷問を受けた神です。 
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by yesquire | 2007-10-27 18:55 | book
古典の新訳シリーズで「武器よさらば」を恥ずかしながら初めて読みました。 ヘミングウェイの殺ぎ落とされた文章の表現力に改めて感心、少ない単語で繋がれているのに映画のワンシーンがページから浮かんでくるようでした。
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作者の体験が大きくベースになっている物語は舞台が第一次大戦のイタリア戦地、アメリカから来た兵士とイギリス人看護婦の出会いと別れが淡々と描写されています。 兵士の会話や戦場の緊迫感を最小限の言葉で伝えられるのはヘミングウェイが現地にいたからに違いありません。 

戦争の経験はありませんが、立ち会った自分は作品後半の出産のパートには深く感じるものがありました。 
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by yesquire | 2007-10-13 07:37 | book