赤坂在住の夫婦と娘と赤ちゃんによる日記と地元情報。 食事、映画、読書にアート、何でもありのブログです。 第二子誕生しました!


by yesquire
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カテゴリ:book( 53 )

真珠湾攻撃の時に出会った夫婦の長い人生を描いた「結婚のアマチュア」は僕の大好きな作家の1人であるアン・タイラーの作品です。 文庫本で和訳が出たので見逃していましたが、自分達の結婚1年を過ぎた時に見つけたのは何かあるのかなと思いました。
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知らない人には「アメリカの向田邦子だよ」と紹介することの多いアン・タイラーは、男女の細かい心の動きを心憎いほど大胆に表現します。 「そうそう、こんな時ってあるよ」みたいな心境や状況がどんどん続きます。 そして彼女の他の作品同様、登場人物は皆どこか欠点を持っています。

一目ぼれで結婚したカップルも妻は向こう見ずで気まぐれ、夫は慎重すぎて面白みがなく、可愛かった娘もある日突然失踪してしまします。 設定としては普通なんですが、我々が忘れてしまうか気にしない微妙な心の中がページにどんどん描かれていきます。 

「偶然の旅行者」や「ブリージングレッスン」などの名作と比較すると小ぶりな感じもしますが、秀作には間違いありません。 歳とってから読み返す本がまた一つ増えました。
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by yesquire | 2007-01-11 22:26 | book
アメリカで9年ぶりの新刊’Against The Day’が出版されたThomas Pynchon(トマス・ピンチョン)の60年代の作品が「競売ナンバー49の叫び」です。
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LAのエディパ・マースという女性が以前愛人だった金持ちの遺言執行人に任命されてからストーリーが始まります。 他の作品と同様めまぐるしく出来事が起こり、場面が変わり、登場人物が現れては消えます。 この作品も最初から「読者をテストする」ような知識を展開し、「留まる所がない」スピード感が支配しています。 

日本語訳も70年代のものですから多少違和感はありますが、突然終わるラストの数行を読んだ後はグッタリでした。 歴史、文化、芸術、地理、サブカルチャーと様々な方向に話のベクトルが向かいます。 ピンチョンの作品は10ページ程度読んだら休むくらいが一番いいのかもしれません。 実は寺山修司が翻訳を途中までしていたと解説にありました。 ちなみにこの本の装丁はすばらしいと思います。
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by yesquire | 2006-12-22 12:27 | book
「コレラ時代の愛」はチェス仲間を亡くした医師が同じ日にアクシデントで死んでしまい、寡婦となったフェルミーナ・ダーザの前に半世紀近くもこの時を待っていたフロレンティーノ・ダーサが現れプロポーズする事から物語が始まります。 
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ロマンチックなストーリーに聞こえますが、そこはガルシア=マルケスですから期待は裏切りません。 一人の女性を想い続ける青年の苦難よりも、周囲で起きる事件や昔のコロンビアでの生活などが得意のおとぎ話風に語られていきます。そうなんです、「語られていく」んです。 台詞はほとんど無く動作や景色や出来事が描写されるだけというマルケス節炸裂です。 確かに読んでいて疲れるあるいは眠くなることもあるでしょう。 しかし様々な場面でこれでもかと言うくらい読者を驚かせ感嘆させてくれる事に間違いはありません。 特に想われる方のフェルミーノ・ダーサの少女時代からの生活や青年医師との結婚生活は記憶に残るものでした。

マルケスが次々に刊行されるのも読書熱を維持させるのでしょうか。 先月からすごい勢いで本を読んでいます。 願わくば他の中南米作家の翻訳も読む時間が無い程出版されると幸せなんですが。
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by yesquire | 2006-12-06 12:28 | book
食欲よりも読書の秋が続くようです。 『12番目のカード』は夫婦そろって大ファンのJeffery Deaver(ジェフリー・ディーバー)最新作です。 車イスの元科学捜査官リンカーン・ライム、すっかり恋人になったアメリア・サックスとその仲間が南北戦争後の開放奴隷と何故か狙われるその子孫の事件を解決していくストーリー。 ジェニーヴァというティーンを狙う犯人の策略や彼女本人の環境などお得意の「どんでん返し」は我々を驚かせます。
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シリーズには辛辣で頑固なライムが、四肢の不自由な自分を初めて目にする相手の行動について語る場面が必ずあるのですが、読む度に障害のある方を見かける時に考えさせられるなーと自問してページをめくるスピードが鈍ります。

ジェフリー・ディーヴァーも早く次の作品が日本語訳されないかなーと首を長くして待つ作家の1人です。

週末は可愛い姪達に会って元気をもらいました。
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by yesquire | 2006-12-03 21:40 | book
とにかく多作なJoyce Carol Oates(ジョイス・キャロル・オーツ)ですから気を抜いているとコンセプトも出版社も前と全く違う形で本屋に並ぶので大変です。 ’Freaky Green Eyes’(フリーキー・グリーンアイ)は最近流行なのか、よく理解できないYA=ヤングアダルトなる分野での出版となりました。 
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シアトルに住む超有名元フットボールスターを父に持つ思春期の少女の家族の話。 厳格かつ裕福でスポーツマンの父親と繊細で芸術家肌の母親が別居する所から始まり、主人公の内面が細かく明快に描かれています。 早い段階で母親と「話したのはこれが最後」となってしまった少女の家族に起こる事件と内面の変化をテキパキと料理するかのように仕上げています。 

Joyce Carol Oatesは必要最低限の言葉や文章で、時には冷淡に感じますが、情景や心境を表現する能力を持った作家だと思います。 翻訳も上手なのでどんどん読ませる原作者の文章が分かり易く1日で読めてしまいました。
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by yesquire | 2006-11-29 22:58 | book
’Breakfast Lunch Tea’はロンドンでデリカテッセンのVillandryを経営するRose Carrarini(ローズ・キャラリニ)が2店目として店を出したパリのRose Bakeryのレシピを載せた本です。
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本というよりはアートブックのような装丁とお洒落な写真がお店の飾らない雰囲気を上手に表現しています。 ベーカリーですからパンやケーキなどオーブンを使う料理が豊富でレシピはかなり詳細です。 お店では本の題名のようにDinnerはサーブしていないようで、テイクアウトで使う客も多いようです。
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素材を大事にして無駄な装飾をせず食器もシンプルなものばかり。 こんなお店が近所にあればなーと思います。 

MIⅢのDVDを夜更かしして観た昨晩。 起きて散歩すると今日の表参道は家族連れが多かったような気が..。 来月、表参道では久しぶりに並木にイルミネーションをする予定だそうです。 
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by yesquire | 2006-11-26 19:37 | book
「わたしを離さないで」は読み終わったばかりでは上手く感想を語れない作品です。 「衝撃がある」と帯には書いてありますが、ミステリー小説のように最後に「衝撃の結末」がある訳ではありません。 主人公のキャシーが回顧する途中で読者にも正常ではない世界に彼女や友人がいる事は明らかにされていますので。 って私の文章もカズオ・イシグロ調になっていますか?
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「日の名残り」でも感じた女性の視点での語り口は妙に落着いており、普段見逃しがちな葛藤や罪悪感など心の隙に入ってくるモノは素晴らしいの一言でしか表現できません。 読んでいる途中で小学校の親しくもなかった友人の想い出や、先生も1人の人間だと感じさせられた事件などがうっすらと頭に浮かんできました。 

同じく帯にあった「本年度最大の話題作」というのは正しい。 隔離された主人公達とその後の人生、普通ではない若者達の間で起こる事件があまりにも自分の経験と似ていて同情と違和感を同時に味わいさせられる、そんな小説です。 非情に悲しい作品であるとも言えるでしょう。 カズオ・イシグロも読んでいるだけで場面の風景や空気の冷たさを感じる作家の1人です。

大好きな作家の1人であるWilliam Styron(ウィリアム・スタイロン)が亡くなった日に読み終わりました。
 
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by yesquire | 2006-11-02 22:55 | book

『暗夜行路』 志賀直哉

志賀直哉の書く文章が最も美しいと『城の崎にて』が抜粋された国語の教科書を読みながら学校の先生が話してくれました。 確かに美しい文章で書かれた『暗夜行路』も本棚に置きっぱなしにしてあった文庫本の一つですが、大人になってから読み返すとかなり衝撃を受ける内容だというのが改めて分かります。
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妻と父の不貞に悩む主人公謙作の話はあまりにも有名で、苦悩と和解の過程は倫理的な小説とも言えるのではないでしょうか。 この小説を読み返すともちろん感動もするのですが、悩み葛藤する謙作の思いや心の描き方が実に鮮明で伝わりやすい。 半分私小説と言われるように志賀自信も小説の中で実体験を伝えているような気もします。 今の心にある事をそのまま文章に出来たらこんな書き方ができるだろうかと自問させられます。 父と子について考えるこの頃、もう一度読んでみようかなと思います。
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by yesquire | 2006-10-20 22:43 | book
本屋で悩まずにレジに持っていく本が見つかった日は嫌なことがあってもすぐに忘れられます。 問題はそれがあまりない事ですが、ガブリエル・ガルシア=マルケスの久しぶりの新刊を見つけて2日間で読んでしまいました。 嬉しいことに新潮社からは「全小説」のシリーズで過去に刊行された分も順次発売されるそうです。 多作な作家ではないので、10作くらいですが書店で手に入らない本もあるのでファンには朗報です。
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『わが悲しき娼婦たちの思い出』は老年の主人公が90歳の誕生日に昔お世話になった娼館の女将に連絡を取ることから始まります。 記念すべきその日に処女を抱こうと思い立った彼のその日からの生活が描かれていますが、ガブリエル・ガルシア=マルケスはいつものように冒頭で読者の興味を見事に惹き、そのまま一気に読ませてしまいます。 主人公が老壮であるので自己移入は苦しいですが、枯れかけた男の哀愁や若かりし頃の武勇伝を思い出す場面などは同情させられます。

マルケスは登場する人物の肉体、特に下半身やセックスの描写が「あからさま」で「坦々と」していると思います。 まるでこんなの普通だよと言わんばかりの書き方が今回も随所に見られます。

夏目漱石の『こころ』に似てるなと個人的に思った個所がありました。 「教育を受けたちゃんとした人間のように見せかけているのは、なげやりで怠惰な人間であることに対する反動でしかなく、度量の小さい人間であることを隠すために寛大な振りをしているに過ぎず..」 自分が人生の最後にこんな風に自分を見返せるだろうかと心配になったセンテンスです。

以前刊行された岩波書店の『物語の作り方』で映画「シャイニング」を「輝き」と直訳してしまった木村栄一さんが翻訳だったので心配になりましたが、さすがは新潮社でした。

『わが悲しき娼婦たちの思い出』は僕より年上の男性に是非お薦めしたいです。 次にページを開く時は主人公と同じ年齢の時にしようと思いました。 評価は☆☆☆☆☆。
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by yesquire | 2006-10-06 20:42 | book
ジョージ・プリンプトン(George Plimpton)はスポーツを対象にしたドキュメンタリーを確立した作家で、「ペーパー・ライオン」(Paper Lion)では本当にプロのフットボールのチームに加わって小説を書いていました。 サッカーの取材とインタビューの記事しか載せない日本のスポーツメディアとは格段の差があります。
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で、この本は今まで見たことも無い早い球を投げる青年がメジャーでデビューするという話で、1980年代の米メジャーが舞台になっています。 1990年に日本語訳が出版されたのですが、当時は今程大リーグの情報が入っていなかった。 で、この本を読んで選手の名前とか色々覚えた記憶があります。 それよりも作品に登場するアメリカのスポーツメディアに触れられた事が良かった。

ジョージ・プリンプトン(George Plimpton)は有名な文芸誌The Paris Reviewの発行にも関わっていました。 通好みの作家がこういった誰が読んでも楽しい作品を書くところが懐が深くていいなと思いました。
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by yesquire | 2006-06-24 23:38 | book