『初めの光が』 チャールズ・バクスター
2008年 09月 23日
スティーリーダンの計算された乱れないメロディが聞こえてきたチャールズ・バクスターの長編デビュー作が『初めの光が』。 ミシガンの兄妹の物語が章ごとに過去へ戻る構成、最後は幼い子供時代までさかのぼります。 ハンサムなカーディーラーの兄は高校のアイスホッケーのスター、天才児だった妹は物理学者になって不倫で出産。 全く違う環境に生活し家族を持つ二人のそれまでの日常がごく平凡に語られるのですが、何故か心配にもなり、先が読みたくなる小説でした。
動物園のライオンを「用心深く、知的ではあるが、無慈悲でもある。旅慣れた老夫人の顔だ」と表現するなど小説家たる才能が所々に光る作品でもありますが、物理や核実験の知識、ディーラーの仕事などどこで手に入れたんだと思わせる知的なディテールも見逃せません。
オープンしたばかりなのに料理も居心地も良いレストランのような佳作に今後の和訳刊行の期待が高まります。
動物園のライオンを「用心深く、知的ではあるが、無慈悲でもある。旅慣れた老夫人の顔だ」と表現するなど小説家たる才能が所々に光る作品でもありますが、物理や核実験の知識、ディーラーの仕事などどこで手に入れたんだと思わせる知的なディテールも見逃せません。
オープンしたばかりなのに料理も居心地も良いレストランのような佳作に今後の和訳刊行の期待が高まります。
by yesquire
| 2008-09-23 23:08
| book