赤坂在住の夫婦と娘と赤ちゃんによる日記と地元情報。 食事、映画、読書にアート、何でもありのブログです。 第二子誕生しました!


by yesquire
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『アブサロム、アブサロム!』 ウィリアム・フォークナー

恥ずかしながら初めて読んだフォークナーは荘厳かつ重厚で観る者を飲み込んでしまう中世の宗教建築のようでした。 アメリカ南部の極めて小さい地域を舞台にした一族の物語は、後世の人間が語り継ぐフォークロアのような形式で、登場人物による会話は数える程しかありません。 その会話も伝え聞いた物語の中で繰り広げられるもので、南北戦争当時の彼らの生活や事件を残された手紙や伝説で語りつくす一冊でした。
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だいたい悪役は突然登場するものですが、「アブサロム、アブサロム!」でも敵役サトペンはミシッシッピにいきなり大邸宅を構え、雑貨屋の娘と強引に結婚し男女一人ずつの子供をもうけます。 家にはほとんど帰らないが大きな存在感を残す夫、妻はあっという間に子供を残して死んでしまいます。 子供達も父親に翻弄され、妹と恋仲になった友人が異母兄弟だったことで一人息子は彼を撃ち殺し逃亡。 サトペンは召使の黒人の娘にも手を出し、父親に惨殺されてしまいます。 妻の妹が地元の学生に呪われた伝説を語る場面から始まるのですが、南部の太陽に照らされた埃っぽい建物での息詰まる会話の様子をこれでもかと細かく描写し強く印象を残します。

どちらかというと広大な大地を舞台にするラテンアメリカ文学に傾斜してしまった私にはちょっと物足りない感じもして、先にフォークナー読んでいればと後悔。 世界文学全集は一冊で二つの作品を収めたりして本の厚さを均一にしたいのか、この本も後半になると極端にひらがなが増え、ただでさえ難解な小説のページを進むスピードを落とさざるを得ませんでした。
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by yesquire | 2008-08-19 22:04 | book