『オッペンハイマー』
2007年 10月 27日
「オッペンハイマー」は「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーの伝記。 愛国心から原爆を作った彼は意外にも日本に落とされた数年後に反米活動の疑いをかけられ地位を失ってしまう。 この本は作者達の25年に及ぶリサーチによって希代の科学者の複雑なポートレイトを描ています。 科学界のカリスマだった彼は、詩を愛し、哲学を語り、授業でもパーティーでも聴衆や政治家を虜にしてしまいます。 ロスアラモスに英知を集めて一つの目的のために統率するのですが、空前絶後な殺人兵器を製作している意志は感じられません。 これはその後の政治的なナイーブさによって孤立する天才の性格でもあります。 マンハッタン計画や原爆の被害について語られることは多いでしょうが、原爆の実験成功を頂点としたオッペンハイマー博士の特に後世を学問的成果や功績を除いて語る作品は珍しいのではないでしょうか。 FBIもが調査をした共産主義者との接触の事実を訴求され輝きを失っていく過程はショックでもありました。 ピューリッツァー賞受賞した久しぶりの長編ドキュメンタリーは時間もかかりましたが、読後に色々考えさせられる名作。
オッペンハイマーはノーベル賞を受賞した「ビューティフルマインド」のジェフ・ナッシュを迎え入れるなど科学界への貢献も多大ですが、文学など他の分野での造詣も深く、知識人との交流も多かったことに驚かされました。 原題は"American Prometheus"、プロメテウスは人間に火を与えてゼウスの怒りをかい、肝臓をハゲタカに啄ばまれ続ける拷問を受けた神です。
オッペンハイマーはノーベル賞を受賞した「ビューティフルマインド」のジェフ・ナッシュを迎え入れるなど科学界への貢献も多大ですが、文学など他の分野での造詣も深く、知識人との交流も多かったことに驚かされました。 原題は"American Prometheus"、プロメテウスは人間に火を与えてゼウスの怒りをかい、肝臓をハゲタカに啄ばまれ続ける拷問を受けた神です。
by yesquire
| 2007-10-27 18:55
| book