『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ
2006年 11月 02日
「わたしを離さないで」は読み終わったばかりでは上手く感想を語れない作品です。 「衝撃がある」と帯には書いてありますが、ミステリー小説のように最後に「衝撃の結末」がある訳ではありません。 主人公のキャシーが回顧する途中で読者にも正常ではない世界に彼女や友人がいる事は明らかにされていますので。 って私の文章もカズオ・イシグロ調になっていますか? 「日の名残り」でも感じた女性の視点での語り口は妙に落着いており、普段見逃しがちな葛藤や罪悪感など心の隙に入ってくるモノは素晴らしいの一言でしか表現できません。 読んでいる途中で小学校の親しくもなかった友人の想い出や、先生も1人の人間だと感じさせられた事件などがうっすらと頭に浮かんできました。
同じく帯にあった「本年度最大の話題作」というのは正しい。 隔離された主人公達とその後の人生、普通ではない若者達の間で起こる事件があまりにも自分の経験と似ていて同情と違和感を同時に味わいさせられる、そんな小説です。 非情に悲しい作品であるとも言えるでしょう。 カズオ・イシグロも読んでいるだけで場面の風景や空気の冷たさを感じる作家の1人です。
大好きな作家の1人であるWilliam Styron(ウィリアム・スタイロン)が亡くなった日に読み終わりました。
同じく帯にあった「本年度最大の話題作」というのは正しい。 隔離された主人公達とその後の人生、普通ではない若者達の間で起こる事件があまりにも自分の経験と似ていて同情と違和感を同時に味わいさせられる、そんな小説です。 非情に悲しい作品であるとも言えるでしょう。 カズオ・イシグロも読んでいるだけで場面の風景や空気の冷たさを感じる作家の1人です。
大好きな作家の1人であるWilliam Styron(ウィリアム・スタイロン)が亡くなった日に読み終わりました。
by yesquire
| 2006-11-02 22:55
| book